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メダリオン草花文絨毯

アルダビール写し

 

意匠名: メダリオン・コーナー文 (ラチャク・トランジ) 

 

製作地 : イラン・ビールジャンド

 

製作工房 : イラン・カーペット公社

 

製作年代 : 1950年代

 

サイズ : 370×260cm

 

パイル素材 : 羊毛

 

織り密度(結び・横×縦/cm): 8×7

 

ダラ・コレクション

このペルシャ絨毯は、世界で最もよく知られたサファヴィー朝時代の名品、アルダビール絨毯を模してつくられた絨毯である。もっとも、サイズやプロポーションはまったく異なり、文様の特徴のみを採用したもので、いわゆるレプリカ(複製品)ではない。このアルダビール絨毯を模した絨毯というのは、これまで実に数多くつくられ、英国の首相公邸に敷かれていたり、かのヒトラーのオフィスにもあったといわれている。この絨毯は、東ペルシア、ホラーサーン地方、ビールジャンドのイラン・カーペット・カンパニーでつくられたものである。ビールジャンドは、マシュハドの南にあり、現在は南ホラーサーン州の州都となっている絨毯製作も盛んな地である。

 

 

アルダビール絨毯は、1539/40年にアルダビールにあるサファヴィーの祖であるシェイフ・サフィーの廟に納めるため製作されたといわれるもので、ペアで製作され、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館に完品が、ロサンゼルス郡立美術館に一部欠損したものが所蔵されている。V&Aにある完品のサイズは、1,052×554cmで、この絨毯とは大きさも形状もまったく異なるものである。16の突起をもつメダリオンとその周りを取り囲む16個のレモン型の装飾、上下のモスクランプが特徴的で、その部分を参考にこの絨毯の意匠を制作している。

 

 

イラン・カーペット・カンパニー I.C.C.は、1935年に政府が外資系企業の資産を凍結、新会社に移管して設立された公的企業で、化学染料の使用などで劣化しつつあったペルシャ絨毯の品質向上を図るために重要な役割を果たした。1954年にはテヘラーンに近いキャラジに絨毯の原材料を供給する施設を建設し、高品質の原料供給を可能にした。また、膨大な数のペルシャ絨毯の意匠をストックして、あらゆる需要に対応できるよう体制づくりが推し進められた。この絨毯も、上質のウールと安定した織りで仕上げられた良品である。サイズは約9×12フィートのヤードポンド法を基準に織られ、英米向けの輸出品として製作されたものと思われる。

 

 

絨毯上部のメインボーダーの中央部にビールジャンド・シェルキャテ・ファルシュ(ビールジャンドの絨毯会社)と織り込まれている。また、絨毯下方アウターガードに5876という数字が織り込まれ、恐らくこの絨毯の製品番号であろう。

 

解説文

真鍋保夫